2012年ばんえい記念 ニシキダイジンのはなし

ゆか

2012年06月12日 23:52

以前からですが、ここ最近のわたし、ブログをアップする余裕がない状態です。すいません。
自分の頭もですが、パソコンもぎゅうぎゅう詰めで動きが悪くなっています(^_^;)

それでも、ばんえい記念終了後にざっと書いていた文の一部を先にアップします。
ニシキダイジンの話。伝えたいこと。


10Rの馬たちが本馬場入場を終えても、パドック最前列のファンが動かない。ざわざわするスタンド。私も興奮し、いい意味で心がざわざわする。
前のレースだっていい馬だらけだけど、それより大きく感じる馬たちが入場してきた。めいめいのおしゃれをして。
パドックでファインダーをのぞく。いつもと変わらない、ばん馬らしい顔をしたダイジン。ずうっと、ファインダーの中の当たり前の景色だった。これで最後なんだ、ということを思い出してみると泣けてくる。

レースは写真撮影のため、検量室の前に立った。
正面にいると、いつも流れがわからない。スタンドの盛り上がりと、井馬さんの実況、山越えにちらりと見える馬の頭だけで想像する。
ダイジンが少しずつ山を登る。少しずつ。ただ、いつもと違うのはダイジンが力を入れたとき、大きく頭を振りあげて、渾身の力を込めていたこと。それはしっかりと1トンを曳く力へとつながった。大きな歓声。ダイジンで仕方がないんだな、と再度構えて英雄を待つ。
大きなダイジンの後ろにいる恵介さんが見えない。やはり位置取りを失敗した。希望の場所はカメラマンがひしめいているから無理。早めに行かないと無理なのだ。これもふくめてばんえい記念。
その後の大歓声は、フクイズミが障害を降りた時だった。膝を折ったのも見えていた。それで立て直してきたのか。ボブサップは短い期間で立て直してきた。無理だなんて思ってごめん。一番の力持ちは君だと思う。

ダイジンの脚色は余裕に思えた。昨年夏から、恵介騎手は自分の目標についても、ダイジンの話にも「大臣賞」という言葉を入れていて、その可能性が高いと本人も意識し、狙っているんだと感じていた。それが、月初めのインタビューでは「いつもの調子にない」という。恵介に獲らせたい。でもまだ早いのか。勝堤さんみたいに、あんたもあと一歩で、ってなっちゃうのか。
そんなことは杞憂だった。余裕だった。ここ数年で、ばんえいを背負い、若手を引っ張り、そんな変化がうれしかった。勝堤さんに似てきた、と感じるところもたくさんある。いいヤツで、もっといい友達になれたらと思う。がんばれ、と言わなくても頑張れる人で、まっすぐにレースで応援できる。そんな存在だ。
「いつでも来い。」最近、勝堤さんみたいなことを言うようになっていた。「次帯広行けるのばんえい記念の前日ですよ。プレッシャーとか…」というと「プレッシャーって何よ」と少し笑ったような声。結局挨拶には行かなかったけれど、前日はどんな気持ちだったんだろう。

ゴールをすぎて、大きなダイジンのお尻の横からにやっとした恵介騎手の笑顔が見えた。よかった。ダイジンの花道もだけど、恵介が勝ったことがうれしかった。

尿検を終えるダイジンがそろそろ来るだろう、とドアを開けると、最終レースに乗る恵介騎手がパドック手前で乗る馬を待っていた。ふと目が合ったのでガッツポーズをすると、そこれに応えて手を挙げた。
インタビューで言葉に詰まるなんて、意外なようで、でも、その気持ちもわかる気がする。本当におめでとう。
記者会見では、2年前と同じく仙頭オーナーがうれしそうにしゃべりまくっていた。

翌日は引退式。肩掛けをいっぱいつけたダイジン、真新しい昨日のレイがひときわ輝いて見える。というのは比喩でもなくて、ほんとうに、それだけが際だって見えた。
私はフクイズミ、トモエパワーと3頭ににんじんをプレゼントした。でも、すぐに馬たちは牧場に旅立つので、引退式で渡したのでは遅すぎたらしい。オーナーがにんじんを見ながら「ニシキエーカンにやるか」と言っていた(^_^;)

引退式後は、調教馬場まで行き記念撮影。おとなしいダイジンは一番最後に、その場所を後にした。
西日がきらきらと馬体を輝かせる。ぷりっぷりっのお尻が光っている。
その場にいた親子らしき女性2人が、「ダイジン行っちゃった…」と涙を流していた。

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